ものが片付かないから、収納を増やそう!
そう思って、収納ケースを買ったり、棚を増やしたりしたことはありませんか?
一度はきれいに収まったはずなのに、しばらくするとまたテーブルの上や床に物が出ている。
そしてまた、「やっぱり収納が足りないのかな?」と思ってしまう。
でも、50代の片付けをお手伝いしていると、収納を増やしても片付かないケースをたくさん見ます。
なぜなら、片付かない理由は「収納が足りない」だけではないからです。
むしろ、収納を増やす前に考えてほしいのは、
「その収納場所は、今のあなたの暮らしに合っていますか?」
ということなのです。
「収納が足りない」より先に見てほしいこと
片付かないと、私たちはつい「どこにしまおう?」と考えます。
入りきらなければ、収納用品を増やす。
でも、その前にちょっと見てほしいんです。
その物、普段どこで使っていますか?
そして、
使ったあと、実際にはどこに置いていますか?
収納場所は決まっているのに、なぜかいつも違う場所に置いてしまう。
そんな物があったとしたら、それはあなたが片付けられないからではなく、
その収納場所が、今の暮らしに合っていないのかもしれません。
50代になると「昔決めた収納」が合わなくなる
わが家も以前はそうでした。
リビングの使いやすい収納に、子どもたちのゲームや作品、いろいろな文房具、裁縫道具などが混在していました。
収納がなかったわけではありません。
今の暮らしに合う使い方になっていなかったんです。

子育て中は、家族を中心に家の中を動いていた人も多いと思います。
子どもの学校のもの。
習い事のもの。
家族みんなで使うもの。
朝から家族の支度をして、洗濯をして、食事をつくって。
その頃につくった収納場所には、その頃なりの理由があったはずです。
でも、50代になると暮らしは少しずつ変わります。
子どもが巣立つ。
仕事の仕方が変わる。
家で過ごす時間が変わる。
暮らす人も、暮らし方も変わっている。
それなのに、収納場所だけは10年前、20年前のまま。
実は50代の家には、こういうことがよくあります。
「なんで私、ここでドライヤーかけてるんだろう?」
先日、片付けのサポートで、ある方の毎日の動きを一緒に確認していました。
朝起きてから、どこへ行って、何をするのか。
間取り図を見ながら、一つずつ聞いていったんです。
すると途中で、
「なんで私、ここで体重を測ってるんだろう?」
「なんでここでドライヤーかけてるんだろう?」
そんな話になりました。
さらに見ていくと、1階と2階を何度も行ったり来たりしている。
「これ、もっと少ない移動で済むんじゃない?」
となったんです。
でも、それまで本人にとっては、それが「普通」でした。
おそらく以前の暮らしの中では、その動きにも理由があったのでしょう。
何年も同じことを繰り返しているうちに、
暮らしが変わっても、家の使い方はそのまま残っていた。
収納も同じです。
「ここにしまうものだから」
「ずっとここだったから」
そう思っている場所が、今の自分にとって一番使いやすく、戻しやすい場所とは限らないんです。
収納場所は「正しい場所」ではなく「戻せる場所」
私は収納を考えるとき、
「普通はここにしまう」
よりも、
「この人は、どこなら戻せる?」
を大事にしています。
たとえばバッグ。
「バッグだからクローゼット」
と決めても、帰宅後いつもリビングに置いてしまうなら、
「どうしてクローゼットに戻さないの?」
ではなく、
「どうして、ここに置くんだろう?」
と考えてみる。
暗いから行きたくないのかもしれない。
扉を開けるのが面倒なのかもしれない。
帰宅後の動線から遠いのかもしれない。
理由が分かれば、収納場所を変えた方がいいことだってあります。
人を収納に合わせるのではなく、収納を、その人の暮らしに合わせる。
その方が、ずっと自然です。
以前の記事(「片付けてもリバウンドするのはなぜ?」)でも書きましたが、目指したいのは一瞬「きれいに収まった家」ではなく、毎日の暮らしの中で戻せる家です。
片付かない家は「物が多い家」だけじゃない
そして最近、もうひとつ感じていることがあります。
片付かない家は、
単純に「物が多い家」というより、「物が動いていない家」なのかもしれない。
ということです。
あるのは分かっている。
でも、探すのが面倒。
だから、また買う。
同じような物が増える。
増えたから、さらに見つけにくくなる。
そして、また買う。
物は家に入ってくるのに、
使われない。
戻らない。
見直されない。
出ていかない。
そうやって、少しずつ物が堆積していくことがあります。
この状態で収納ケースだけを増やしたらどうなるでしょう。
一時的には収まるかもしれません。
でも、物の動きそのものが変わっていなければ、また同じことが起こります。
暮らしは変わったのに、収納の中だけ「まだ子育て中」
そして、「物が動いていない」には、もうひとつあります。
先ほどとは別の話ではなく、同じ方のおうちを見ていたときのこと。
リビングに、とても使いやすい収納がありました。毎日過ごす場所から近く、出し入れもしやすい。
今使っている書類や仕事道具、メイク用品などを収めるには、まさにベストポジションです。
ところが、その収納の中にあったのは、子どもたちが幼稚園時代に使っていたものや、昔の連絡帳など。
子育て真っ最中だった頃の物が、今もそこに収まっていました。
昔は、そこにあることに意味があった。
でも子どもたちは成長し、暮らしは変わった。
それでも物だけは、昔の場所に残っている。
その結果、
今の暮らしで使っている物が、一番便利な場所に入れない。
仕事の物が出ている。
メイク用品も雑多に置かれている。
そして、
「収納が足りない」
と思ってしまう。
ーでも本当に足りないのは、収納でしょうか?
もしかしたら、
今の暮らしに必要な物が、家の一等地に入れるようになっていないだけかもしれません。
この話は長くなるので(笑)、別の記事で「子どもが巣立った後の収納」について詳しく書こうと思います。
→ここから次の記事へ内部リンク予定。
だからといって「先に全部捨てる」でもない
ここで、
「じゃあ、昔の物を全部出して捨てればいいんですね」
という話でもありません。
幼稚園時代の連絡帳。
子どもが小さかった頃の作品。
家族との思い出が詰まったもの。
今は使っていなくても、大切な物はあります。
「使っていない=いらない」ではありません。
これは、50代の断捨離について書いた記事(「50代の断捨離、どこから始めればいい?」)でもお伝えしたことです。
だから、
「先に捨てる」
「先に収納場所を決める」
という二択でもないんです。
まず見るのは、
今、どんな暮らしをしているのか。
何をどこで使っているのか。
どこに物が溜まるのか。
どこで「めんどくさい」が起きるのか。
これから、どんなふうに暮らしたいのか。
そこから考えていきます。
家全体の片付けは、パズルに少し似ています
一か所だけを見ていると、
「ここに入っている物をどうしよう?」
で止まってしまうことがあります。
昔の物を取り出した。
でも、
「……で、これ、どこに置くの?」
となる。
行き場所が分からないから、また元に戻す。
あるいは、とりあえず段ボールに入れて、別の部屋へ。
これでは物が移動しただけです。
だから私は、家全体を見ます。
この収納は、今の暮らしなら何に使うと便利なのか。
ここに入っている物は、どこで使うのか。
別の場所にある物をこちらへ動かしたら、今度は何が空くのか。
そして、思い出の物は今すぐ無理に決めず、いったんまとめておいて、最後に改めて向き合うのです。
そんなふうに家全体を見ていくと、
家の中の物が、パズルのピースのように少しずつはまっていくのです。
「あ、これはここだったんだ」
「ここが空いたら、こっちが入る」
「これを動かしたら、毎日の動線がラクになる」
収納用品を足さなくても、
今ある収納の役割を変えるだけで、家が動き始めることもあるんです。

この収納を増やしたわけではありません。
「ここに何を入れるか」を、今の暮らしに合わせて変えただけ。
すると、家の中の別の場所にあった物も動き始めます。
ひとつの収納が変わると、次の収納が空く。
そこにまた、収まるべきものが収まる。
私が片付けを「パズルみたい」と感じるのは、こういうところです。
収納は、物を押し込む場所ではない
収納というと、
「いかにたくさん入れるか」
「いかにきれいに収めるか」
を考えがちです。
でも私は、収納の役割は、
毎日の暮らしをラクにすること
だと思っています。
取り出せる。
使える。
無理なく戻せる。
そして、必要な物がちゃんと動いている。
その循環ができて初めて、収納は機能します。
だから収納を増やす前に、一度、
「私は、この物をどこで使って、どこなら戻せる?」
と考えてみてください。
答えは、SNSで見た素敵な収納の中ではなく、あなた自身の毎日の動きの中にあるかもしれません。
50代の片付けは、家の使い方を「今の私」に更新すること
子育て中につくった家を、そのままずっと使い続けなくていい。
子どもが巣立ったら、子ども部屋を変えてもいい。
昔決めた収納場所を変えてもいい。
家族を優先してつくった動線を、今の自分がラクな動線に変えてもいい。
50代の片付けは、ただ物を捨てて、収納に収めることではありません。
子育て中につくった家を、
「今の私」が暮らしやすい家に更新していくこと。
収納を増やす前に、家の中を見渡してみてください。
今のあなたが毎日使っている物は、家の一等地にいますか?
それとも、
暮らしは変わったのに、収納の中だけ、まだ昔のままですか?
今のあなたに合う家づくりは、そこから始まるのかもしれません。

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