子どもが巣立って、夫婦二人になった。
あるいは、子どもが家を出て、家の中に空いた部屋ができた。
暮らす人数は減ったはずなのに、
なぜか家は、あまり片付かない。
そんなことはありませんか?
子ども部屋には、まだ子どもの物がある。
リビングの収納を開ければ、幼稚園や学校時代の物が入っている。
一方で、今の自分が毎日使っている物は、テーブルや棚の上に出たまま。
50代の方の片付けをお手伝いしていると、こんな家に出会うことがあります。
そこで最近、よく思うんです。
子どもは巣立ったのに、家の中だけ、まだ「子育て中」なのかもしれない。
暮らしが変わったなら、家の使い方も変えていい。
子どもが巣立った後は、
「家族のためにつくってきた家」を、「今の私が暮らしやすい家」に見直すタイミング
なのだと思います。
子どもが巣立っても、収納は自動では変わらない
子育て中の家には、子育て中なりの「使いやすさ」があります。
学校から持ち帰ったプリント。
習い事の道具。
子どもの文房具。
家族みんなで使う物。
毎日のように使うから、リビングの取り出しやすい場所に置いておく。
それは、その頃の暮らしにはとても合理的な収納です。
でも、子どもが成長して家を出ても、
収納の中身は、自動では入れ替わってくれません。
10年、20年と暮らしていると、「ここにはこれを入れる」が当たり前になっているからです。だから、子どもはもう使っていないのに、昔の学校関係の物がリビングの一等地に残っている。
その一方で、今の自分が使う物には居場所がない。
そんな逆転現象が起こります。
家の「一等地」を、誰が使っていますか?
先日、片付けのサポートで、ある方のお宅を拝見していたときのことです。
リビングに、とても使いやすい収納がありました。
普段過ごす場所から近く、出し入れもしやすい。
今使っている書類や仕事関係の物、メイク用品などを入れるには、とても便利な場所です。
ところが、その収納の中にあったのは、子どもが幼稚園の頃に使っていた物や、昔の連絡帳など。
何年も前から、日常的に使っていない、子育て時代の物でした。
そして、今の暮らしで使っている物はどうなっていたかというと、収納に入れず、外に出ていました。
書類が出ている。
仕事の物が出ている。
メイク用品も雑多に出ている。
一見すると、「収納が足りない家」に見えるかもしれません。
でも、本当に収納が足りないのでしょうか。
私はこの家を見ながら、
収納が足りないというより、「今の暮らし」が収納の一等地に入れていないんだ
と思いました。

子どもの思い出の物は、捨てなくてもいい
ここで、
「じゃあ、昔の子どもの物は全部捨てればいいんですね」
と思わないでくださいね(笑)。
そういう話ではありません。
幼稚園の頃の連絡帳。
子どもが描いた絵。
小さかった頃の作品。
学校で使っていた物。
今は使わなくても、見ればその頃のことを思い出す。
そんな大切な物もあります。
「今使っていない」と「いらない」は、同じではありません。
だから、大切なら持っていていい。
ただ、
大切な物だからといって、家の一番便利な場所に置いておく必要もありません。
ここは分けて考えていいと思うんです。
毎日使う場所には、毎日使う物を。
思い出として残したい物には、思い出の物として安心して置いておける場所を。
そうやって収納の役割を変えていくだけでも、今の暮らしはずっとラクになります。
空いた子ども部屋を「そのまま」にしていませんか?
子どもが巣立った後の片付けでは、子ども部屋も大きなテーマになります。
子どもが家を出た後も、ベッドもそのまま。
机もそのまま。
クローゼットの中もそのまま。
まるで、いつ帰ってきてもいいように、時間を止めているような部屋。
もちろん、それが悪いわけではありません。
子どもが帰省したときに泊まれる場所は残したい。
それも大切な希望です。
でも、
「泊まれる部屋」と、「一年中、子どもだけのために空けておく部屋」は同じではありません。
普段は自分の仕事に使う。
趣味を楽しむ。
本を読む。
オンラインで仕事をする。
そして子どもが帰ってきたときには、気持ちよく泊まれる。
そんな使い方だってできます。
「ここは子どもの部屋だから」
と決めたのは、何年前でしょう。
今の暮らしに合わせて、部屋の役割そのものを選び直してもいいのです。
家の中の「動き」にも、子育て中が残っている
子育て時代の名残は、収納の中だけではありません。
毎日の動きにも残っていることがあります。
先日のサポートでも、間取り図を見ながら朝から夜までの動きを確認してみたら、1階と2階を何度も行ったり来たりしていました。
そこで、
「なんで行ったり来たりしてるんだろう?」
「なんで私はここでドライヤーをかけているんだろう?」
という話になりました。
本人にとっては、ずっとやってきた「普通」の動きです。
でも暮らしが変わった今、改めて見てみると、
もう、その動きを続ける理由がない。
子育て中には合理的だったことが、今の自分には合わなくなっていることがあります。
収納場所と生活動線については、前回の記事(「収納を増やしても片付かないのはなぜ?50代から見直したい収納場所の決め方」)でも詳しく書きました。
「お母さんの家」から、「私が暮らす家」へ
子育て中、家の中で優先していたのは何だったでしょう。
子どもが使いやすいこと。
家族が困らないこと。
朝の支度がスムーズにできること。
家族みんなの物が収まること。
気がつけば、自分の使いやすさは後回しになっていた人もいるかもしれません。
それが何年も、何十年も続いた。
だから、子どもが巣立ったからといって、
突然、
「今日から自分のための家にしよう!」
とは、なかなかならないんですよね。
体はもう子育てを卒業していても、
家の中には、「お母さんだった私」が決めた場所や動きがたくさん残っています。
だからこそ、50代になった今、一度家を見直してみてほしいのです。
まずは「家の一等地」を見てみる
全部の収納をひっくり返す必要はありません。
まずは、家の中で一番使いやすい収納をひとつ開けてみてください。
そして、中に入っている物を見ながら、こんなふうに考えてみます。
これは、今もよく使っている?
これは、誰が使っている?
ここにある必要はある?
今の私が毎日使っている物で、もっとここに置きたい物はない?
そしてもうひとつ。
「この場所を、これから誰のために使いたい?」
ここまで考えると、収納の見え方が少し変わるかもしれません。
片付けは、
「何を捨てる?」
だけではありません。
「これから、この家をどう使いたい?」
を考えることでもあるのです。
50代の片付けは「今の私」に家を更新すること
子どもが巣立ったからといって、子どもの物を全部手放す必要はありません。
思い出も、残したい物も、大切にしていい。
でも、
子どもの物を大切にすることと、子育て時代の家の使い方をそのまま続けることは、別のことです。
子どもが巣立ったら、収納の役割を変えてもいい。
子ども部屋の使い方を変えてもいい。
家族を優先してつくった動線を、自分がラクな動線に変えてもいい。
これまで家族に譲ってきた家の一等地を、
少しずつ、今の自分に返していってもいい。
50代の片付けは、
物を減らして、小さく暮らすためだけのものではありません。
子育て中につくった家を、
「今の私」が心地よく暮らせる家に更新していくこと。
家を見渡してみてください。
今のあなたが毎日使っている物は、使いやすい場所にありますか?
空いた部屋は、今のあなたの暮らしに使えていますか?
それとも、
子どもは巣立ったのに、家の中だけ、まだ「子育て中」のままですか?
これからの家は、
「私のための家」にしていいのだと思います。

子ども部屋だって、暮らしに合わせて役割を変えていい。※これは、イメージ画像です。
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